ワンダーエッグプライオリティ特別編(第13話)を頑張って解釈したので聞いてほしい

アニメ

全12話の本放送から約3か月空けて、テレビアニメ『ワンダーエッグ・プライオリティ』の特別編が放送されました。

TVアニメ「ワンダーエッグ・プライオリティ」公式サイト

ワンダーエッグ・プライオリティは自殺してしまった思春期の少女とそれを救おうとする少女たちの物語という重たいストーリーと、それに反してかわいらしいキャラクターたち、美麗な作画に激しい戦闘シーン等たくさんの魅力にあふれた作品でした。

しかし、第11話で少女たちの自殺の影に潜む(?)フリルというAI少女の存在が明らかになり、死の誘惑「タナトス」と戦う「エロスの戦士」という、謎に包まれていたワンダーエッグに関する重大な背景が明らかになって「これあと一話でたためるのか?」という不安が的中し「俺たちの戦いはこれからだ!」的な最終話を迎えてしまいました。

それが特別編で続きが放映されるということで「これですっきり終わるはず!」と期待していましたが実際には明らかになっていない謎は多いしフリルについては特に何も解決しないまま終わってしまいました。

ネット上の感想等を観ていると賛否両論というより「え?ほんとにこれで終わり?」という純粋な戸惑いの声が多いように思います。

私も最初観終わってすぐは「わけわかんねえ」って思ってたんですが、「わざわざ特別編までやって何もないわけない」と思っていろいろ考えてみた結果、自分なりの解釈ができたのでちょっと語らせてもらいます。

結論から言うとこの作品のテーマはフリルという悪を倒すとか死の誘惑から皆を守るとかそういう壮大なことではなく、少女たちが自分の「プライオリティ / 優先順位」を確立する=「思春期を終えて大人に近づく」話だったのかなと思います。

プライオリティって言葉好きな人は好きだと思うんですけど、これは物事を進める上で非常に大事なことです。これがブレブレだとすぐに決心が揺らいでしまったり、学校でも仕事でも夢でもなかなか目標達成できないものなんですよね。ちなみに私はブレブレ派です。

この作品を思い返しても、アカと裏アカがワンダーエッグにまつわる重要な話をしようとしたときにアイたちは桃恵の恋バナを「優先」して聞く耳持たなかったシーンがありましたね。あの場面でのアイたちのプライオリティは恋バナでしたが、真相を知ることにプライオリティを置いている視聴者はもどかしかったかもしれません。

人それぞれものごとの優先順位は違っていて、

裏アカにとってはフリルを止めること、

アカにとっては娘のひまりを救うことが優先事項であり、

本人たちにとってはとても重要なことだけど他の人にとってはどちらも優先するべきこととは限らない。

フリルの存在はそれを表すためのものでこの物語の主題ではなかったんだと思います。

「大切な人を生き返らせる」という共通の目的を持って集まったアイ・ねいる・リカ・桃恵でしたが目的を達成しそれが空しい結果に終わってしまった後で、じゃあ次は何にプライオリティを置くのかっていうのがこの物語の重要な部分だったんじゃないでしょうか。

そうしてアイ、リカ、桃恵はそれぞれ異なった道=別々のプライオリティを選び分かれ行き、アイは大切な友達であるネイルに会うためにワンダーエッグと再び関わる道を進んだってことなんだと思います。

つまり「俺たちの戦いはこれからだ!」とかではなくて、小糸ちゃんの死から立ち止まってしまっていたアイが自分の意志で自分のプライオリティを決めて歩き始めることができたって時点で一つの決着を迎えているってことです。

ワンダーエッグって結局なんなのかとか、ねいるは結局どうなっちゃってるのとか、フリル倒してないよとか、そういうところに疑問が残って納得できないって人は、そこにプライオリティを置いてるけど製作者が見せたかったプライオリティは違う部分だったってことです。

そういう作品だからこそ、合う合わないが激しく分かれるってのは致し方ない部分なんでしょうね。

なので私の意見としては、この作品は「風呂敷をたためなかった」とかそんなことは一切なくて、しっかり完結していると思います。まあリカと桃恵のその後はちゃんと見たかったけど

その上で個人的な好みを言うと、あんまり好きな終わり方ではないです。もっとすっきりした爽やかなエンディングの方が好きです。

ただ、表面的な部分だけ観て良し悪しを判断しちゃうのはもったいないと思うので少しでもなるほどって思った人は他のアニメも深読みして観てください。イマイチだと思ってた作品でも意外な魅力が見つかるかもしれません。

以上!

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