2022年夏アニメで一番人気のラブコメ作品と言ったら、「週刊少年マガジン」で連載されている同名漫画を原作とした『彼女、お借りします season2』ではないでしょうか。
彼女、お借りします
あらすじ
20歳のダメダメ大学生・木ノ下和也。
初めての彼女と一度だけキスをしたが、たった1ヶ月でフラれてしまった。
「あぁ…やだ…もうなんか全部ヤダ…」やけっぱちになった和也は、“ある方法”を使って、女の子とデートをすることに。
待ち合わせ場所に行くと、「君が和也君、だよね?」さらさらの黒髪を耳にかけながら、和也の顔を伺う美少女、水原千鶴は微笑みかけた──。
お金を払って女性キャストに自分の彼女として振舞ってもらいデート等を楽しむ「レンタル彼女」というサービスをきっかけに展開されていく恋愛ストーリーです。
現実に「レンタル彼女」というサービスが存在するのかどうかは知りませんが、たぶんパパ活なんかと似たようなものでしょう。
現在放送されているのは第二期で、原作の掲載誌もあのマガジンということでかなりの人気作品であることが伺えます。
実は私も一期が放送されていた頃に観てみたんですが、数話観たところでやめてしまいました。
あんまり作品の悪口とかは言いたくないのですが、本当に気持ち悪かったからです。アニメを観ていてあんなに不快感を覚えたのは初めてだったかもしれません。
現実でも大学生だったら、「親からの仕送りで風俗通いする人間の屑」みたいな友達が一人くらいはいると思うのですがこの作品の主人公はそういう奴と同じに見えました。
ラブコメで主人公のことが好きになれないと、その主人公と恋愛関係になるヒロインの感性も疑われて全てが気持ち悪く見えちゃうんですよね。
しかし、このように金で女を買う人気アニメは「彼女、お借りします」だけではありません。
例えば、同じく今期放送されていて「小説家になろう」出身の『異世界迷宮でハーレムを』ですね。
異世界迷宮でハーレムを
あらすじ
ある日、この世に絶望していた加賀道夫が見つけたのは、あやしげなネットゲーム。
ゲームに書かれた、この世界が生きづらいなら異世界で生きればいいという言葉に誘われるまま、設定やキャラメイクを終えた道夫を待っていたのは、現実とは異なる本物の異世界だった。
様々なスキルやジョブ、魔法に迷宮とまるでゲームのような異世界を舞台に、自らのステータスを自由に再設定することができる力を駆使して、道夫の冒険が幕を開ける。
お金で女を買うことがあくまで恋愛の始まるきっかけだった「彼女、お借りします」とは違い、こちらでは美人で巨乳の女奴隷ロクサーヌを買うことが序盤の目的となっており、そのために主人公がお金集めに奔走しています。
私も最初は深く考えず、「すげぇ!このハーレムver.ってやつTKBがバッチリ見える!ヤッホゥ!」とはしゃいでいたのですが、第2話にてダンジョンでのお金稼ぎに限界を感じた主人公が盗賊狩りでの懸賞金によるお金稼ぎにシフトしたことで雲行きが怪しくなります。
続く第3話で主人公は、盗賊たちの置かれている状況や派閥、拠点などを調べ上げて計画的に寝静まったアジトに潜入。効率的に殺戮していきます。その描写はあまりにも生々しく目を背けたくなるものでした。
異世界に転移する前は何の変哲もない一般人だったはずの主人公がそこまでの凶行に走ってしまったのは美人奴隷とアウチなことをしたいからという分かりやすい動機ではあるのですが、だからこそ「自分がTKBを見たいと思ってしまったがためにこんな惨劇が起きてしまったのか…」という謎の錯覚に陥り謎の罪悪感を憶えてしまいます(私だけでしょうか?)。その後のエンディングがおふざけ系なので余計にサイコパス味があります。
この盗賊たちがめちゃくちゃ悪い奴だと実感できる描写があったり、激闘の末に倒したとかだったらまた印象も違ったと思うんですけどね。ステータスが盗賊ってだけなら主人公もそうだし。
そもそも「異世界迷宮で~」ってタイトルなんだし素直に迷宮でお宝でも見つけるってのじゃダメだったのかとは言ってはいけないんでしょうか。
今期の金で女を買うアニメはまだあります。これも「小説家になろう」出身で『黒の召喚士』
黒の召喚士
あらすじ
「初めてですよ、神である私に配下になれとおっしゃった方は」
ケルヴィンは目を覚ますと異世界に転生していた。しかも、ガイド役としてその世界の女神を配下に従えて。
前世の記憶と引き換えに、高ランクすぎる召喚スキルと魔法スキルを得たケルヴィンは、冒険者としての生活を始めるが、強敵を求めたがる性格と、新人レベルを遥かに越えたステータスによりすぐに注目を浴びてしまう。
黒のローブに身を包み、戦闘狂な主人公が、仲間を集めてトップ冒険者へと成り上がる、爽快バトルストーリー開幕!
主人公は召喚士ということで第2話ではモンスターを仲間にしていましたが、第3話では奴隷の少女を購入し仲間に加えます。
これに関しては、悲惨な境遇にあった少女を救ったという側面もあるようなので忌避感は比較的薄いですが、美女奴隷を買うっていうのは最早異世界転移・転生作品のテンプレ的ムーヴなんだなとしみじみ感じました。
私の印象に残っている限りでは、異世界でヒロインを奴隷として購入した最初の人気作品は『盾の勇者の成り上がり』です。
盾の勇者の成り上がり
あらすじ
ごく平凡なオタク大学生・岩谷尚文は、図書館で出会った1冊の本に導かれ異世界へと召喚されてしまう。
与えられた使命は、剣、槍、弓、盾をまとう四聖勇者の一人「盾の勇者」として、世界に混沌をもたらす災い「波」を振り払うこと。大冒険に胸を膨らませ、仲間とともに旅立った尚文。
ところが、出発から数日目にして裏切りに遭い、金も立場もすべて失ってしまう。
他人を信じられなくなった尚文は奴隷の少女・ラフタリアを使役し、波に、世界に、立ち向かおうとするが―。
果たして、この絶望的状況を打破することはできるのか?すべてを失った男の成り上がりファンタジー、開幕。
この作品は主人公が異世界で一人理不尽な扱いを受け、周囲のほとんど全てが敵という追い込まれた状況で唯一味方してくれるのが奴隷しかいなかったという話なので納得感はありました。
もしかしたらこれがかなりの人気を得たことで「行ける!」と判断されてヒロイン奴隷系の他作品が続いてきたのかもしれません。
ですが、ぱっと見やってることは同じでもストーリー展開や演出で印象はまるっきり変わってしまいます。
なろう系作品全般に対する批判の中には「作者(あるいは読者)の欲望が透けて見えて気持ち悪い」というものがあります。(「彼女、お借りします」はなろうではありませんが)
それが事実だとすると、その欲望が「めちゃくちゃモテて女を好き放題したい!」ではなく「金で女を買って女を好き放題したい!」なのはなんとも悲しいことだと思います。
そういう作品があること自体は全然良いと思うんですが、それが人気を得ているというのは「普通に恋愛するよりも風俗等の方がイメージしやすい」という読者・視聴者が増えているということではないでしょうか。
翻って現実社会の世情を鑑みると、最近では「20代男性の4割がデート未経験」という調査発表がありました。
「20代独身男性の4割はデート未経験」の政府報告書、全部読まなければ見えてこない問題の本質とは
そう考えるとアニメ業界の流行も、実社会の有様を反映したものだったのかもしれません。
趣味嗜好は人それぞれではありますが、もっと女性に希望が持てるような作品が生まれる希望あふれる社会になってほしいですね。
以上!
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